今朝は10月25日までの公開情報を追った。今日は「新モデルが何点伸びた」より、AIを既存の仕事へ埋め込むための仕組みが主役。特に重要なのは、Custom GPTからPluginへの移行開始、OpenAIモデル/CodexのGoogle Cloud展開、AIコーディングが増えすぎてGitそのものの設計前提まで崩れ始めたこと。モデル比較表を眺めるより、こっちの方が仕事には効く。

1. Custom GPTはPluginへ移行開始。今後は「自分専用GPT」より「再利用できる機能+接続先」へ

情報の確度:確認済み

何が話題?

10月25日からChatGPTのCustom GPT機能はPluginへの置き換え段階に入った。既存Custom GPTは2027年2月11日までに移行しないと利用できなくなる予定。Pluginは従来のCustom GPT同様、再利用可能な指示、参照ファイル、接続アプリをまとめられる。

つまり何ができる?

これまで「経理GPT」「議事録GPT」のように会話設定を作っていたものを、Gmail、Slack、GitHubなど実際のサービス接続を含む再利用部品へ寄せられる。

こんな人に役立つ

Custom GPTを業務テンプレートとして使っている人。

具体例

社内FAQ用GPTをPluginへ移し、参照資料+回答ルール+社内サービス接続を一つの機能として管理する。

難易度:すぐ使える〜少し設定。

試し方

  • ①ChatGPTのGPT一覧を開く
  • ②既存GPTに「Migrate to plugin」が出ているか確認
  • ③変換
  • ④共有設定を確認してテスト。

料金・制限・罠

移行時にCustom GPTの共有設定は引き継がれない。社内共有GPTを雑に変換して「移ったから終わり」は危険。

検証

Harvard University ITがOpenAIの移行スケジュールを案内しており、10月25日開始、2027年2月11日Custom GPT終了予定を確認できる。

情報源:Harvard University Information Technology「OpenAI will retire Custom GPT functionality in ChatGPT」2026年9月30日。

結月硝子一言:Custom GPTが「人格付きチャット設定」から「仕事に接続する部品」へ寄っていく。こっちの方が実務では筋がいい。


2. OpenAIモデルとCodexをGoogle Cloudから使える。AI会社同士の壁がまた薄くなった

情報の確度:確認済み

何が話題?

OpenAIとGoogle Cloudが、OpenAIのモデルとCodex作業手順をGoogle Cloud側へ展開すると発表。GeminiのModel Gardenから利用できる構成になる。

つまり何ができる?

会社がGoogle Cloudを基盤にしていても、別途OpenAI専用の基盤を一から用意せず、既存のクラウド管理・認証・請求の中へOpenAIモデルを組み込みやすくなる。

こんな人に役立つ

Google Cloud中心の会社、GeminiとOpenAIを用途別に使い分けたい開発チーム。

具体例

通常の大量処理はGemini、特定のコード修正はCodex、といった使い分けを同じクラウド基盤上で管理する。

難易度:技術者・企業向け。

試し方

Google CloudのModel GardenでOpenAIモデルの提供状況と自社リージョン・契約条件を確認。いきなり本番データを入れず、小さな検証環境で認証・ログ・料金を確認する。

料金・制限・罠

利用可能地域、モデル、契約条件はGoogle Cloud側の提供条件に依存。『Google Cloudから使える=ChatGPT契約料金に含まれる』ではない。

検証

OpenAIが10月22日に公式発表。

情報源:OpenAI「OpenAI models are coming to Google Cloud」2026年10月22日。

結月硝子一言:モデル会社を宗派みたいに一社へ固定する意味がさらに薄くなっている。企業側は「どのモデルが好きか」ではなく、処理単価・品質・権限管理で振り分ける方が合理的。


3. GitHub CopilotのVisual Studio版、チャットからPRを読める範囲が拡大

情報の確度:確認済み

何が話題?

GitHubは10月22日、Visual Studio向けCopilotの更新を公開。Pull Requestの内容をIDEから離れずチャットで調べる機能など、作業中のコードとGitHub上のレビュー情報を近づけている。

つまり何ができる?

『このPRで何が変わった?』『この変更は今触っているクラスへ影響する?』といった確認を、ブラウザとVisual Studioを往復せず進めやすい。

こんな人に役立つ

Visual Studio+GitHubを使うC#/.NET系開発者。

具体例

既存PRを開き、変更理由・影響範囲・未解決レビューをCopilotへ整理させてから自分の修正へ入る。

難易度:すぐ使える。

試し方

  • ①Visual StudioとGitHub Copilotを更新
  • ②対象リポジトリを開く
  • ③PRについて質問
  • ④回答と実際のdiffを照合。

料金・制限・罠

Copilot契約と組織設定に依存。AIのPR要約はレビューそのものではない。重要な変更はdiffを見る。人類はついに『差分を読む』という古代技術から逃げようとしているが、まだ逃げ切れていない。

検証

GitHub公式Changelogで10月22日に公開。

情報源:GitHub Changelog「GitHub Copilot in Visual Studio — September update」2026年10月22日。


4. AIコーディングが増えすぎて、AnthropicはGit自体の前提を作り直した

情報の確度:確認済み。一般企業への必要性は限定的。

何が話題?

AnthropicではAIによるコード変更量が急増し、1日のmergeが2026年5月の約2,500から9月には3万超へ増加。従来Gitのローカル中心設計がボトルネックになり、Scionという新しいソース管理システムを開発した。

つまり何ができる?

一般ユーザーがScionへ乗り換える話ではない。重要なのは『AIがコードを書く速度が上がると、人間向けに設計された周辺システムが先に詰まる』という実例。

こんな人に役立つ

AIエージェントを大量並列運用する開発組織。普通の数人チームならGitのままでいい。

具体例

10個のAIエージェントが別々の修正を同時生成すると、コード生成よりbranch作成・checkout・merge・同期が重くなる。そこでサーバー側で処理を集約する。

難易度:大規模開発組織向け。

料金・制限・罠

『Gitは終わった』は誇張。Anthropic自身の状況が極端。普通の会社が真似すると、Gitより自作基盤の保守で死ぬ可能性の方が高い。

検証

Anthropic公式研究記事で設計理由と開発経緯を公開。7人のエンジニアが約5か月で構築したと説明している。

情報源:Anthropic「Redesigning source control at Anthropic」2026年10月。

結月硝子一言:AIが速くなるほど『コードを書く部分』以外がボトルネックになる。Excel自動化でも同じで、VBAを書く速度より仕様確認と検証の方が最後に残る。


5. DCC-MCPが10月25日も更新。BlenderだけでなくMaya、3ds Max、UnityまでAIの共通操作対象へ

情報の確度:かなり確からしい。GitHub上の実装と更新を確認。

何が話題?

DCC-MCPプロジェクト群が10月25日にも更新され、Blender、Maya、3ds Max、Unityなどの制作ソフトをMCP(AIと外部サービスをつなぐ共通規格)から操作するadapterが拡大している。共通core、runtime、拡張機能のmarketplaceも整備中。

つまり何ができる?

CodexやClaude CodeのようなAIから『Mayaでモデル修正→Unityへ配置→テスト』のようなソフト横断作業へ近づく。

こんな人に役立つ

3D、映像、ゲーム制作。一般会社員にはまだ趣味寄り。

具体例

Blenderでオブジェクトを作成し、材質を設定、レンダリングする一連の操作を自然言語からtyped toolとして呼び出す。

難易度:技術者・クリエイター向け。

試し方

  • ①本番ファイルを複製
  • ②一つのadapterだけ導入
  • ③単純なオブジェクト作成・移動を試す
  • ④undoと保存挙動を確認してから範囲を広げる。

料金・制限・罠

adapterごとに成熟度が違う。AIへ制作ソフトの書き込み権限を渡すので、バックアップなしの本番利用は雑すぎる。

検証

GitHub上で3ds Max、Unity、core、Blender、runtime、Mayaなどが10月25日更新。

情報源:DCC-MCP GitHub organization、2026年10月25日時点。

結月硝子一言:MCPの本命は『AIに天気を教える』ではなく、既存ソフトを共通の手足に変えること。地味だけどこっちが産業を変える。


6. MCPを増やしすぎると、それだけで毎回1万トークン級を食う。圧縮という地味な節約策

情報の確度:確認済み。新発表ではないが、現在のMCP大量導入との組み合わせで実用価値が高い。

何が話題?

Atlassian Labsのmcp-compressorは、MCPサーバーがAIへ渡す大量の機能説明を圧縮する中継役。Atlassianによると、大型MCPでは機能説明だけで1万〜1.7万トークン以上を消費する場合があり、圧縮で70〜97%削減できるとしている。

つまり何ができる?

MCPを大量登録したCodex/Claude Code等で、仕事を始める前から巨大な説明文を毎回AIへ食わせる無駄を減らせる。

こんな人に役立つ

MCPを複数登録している人、API従量課金でエージェントを動かす人。

具体例

GitHub、Slack、DB、ブラウザなど10個のMCPを常時読み込ませる代わりに、必要な機能だけAIへ見せる。

難易度:少し設定〜技術者向け。

試し方

まず現在の入力トークン量を記録し、mcp-compressorまたは同等の遅延読み込み方式をテスト環境で挟み、同じ作業を実行して差を見る。

料金・制限・罠

70〜97%はAtlassian側の測定値で、すべてのMCPで同じ削減率になる保証はない。圧縮層自体も新しい故障点になる。

検証

Atlassian公式ブログとOSS実装を確認。『MCPを増やすほど便利』だけではなく、AIが一度に参照する情報と料金を圧迫する構造は実在する。

情報源:Atlassian「MCP Compression: Preventing tool bloat in AI agents」。

結月硝子一言:AI料金を下げるために弱いモデルへ落とす前に、毎回AIへ読ませている巨大な取扱説明書を疑った方がいい。モデルを節約する前に配管を掃除する。


今日の観測

今日の共通点は『モデルより周辺構造』。

Custom GPTはPluginへ、OpenAIモデルはGoogle Cloudへ、CopilotはPR情報へ近づき、MCPは制作ソフトへ広がる。一方でMCPを増やせばトークンが膨らみ、AIがコードを大量生成すればGitの設計まで詰まり始める。

つまりAI活用の次の差は、単純なモデル性能ではなく、①必要な情報だけ渡す、②既存サービスへ接続する、③権限を絞る、④出力を検証する、⑤無駄なトークンを送らない、という『運用設計』で出る。

今日ひとつだけ試すなら

今日はCustom GPTを使っているなら、Plugin移行対象になっているか確認するのが一番いい。5分で終わり、放置すると2027年2月に面倒が未来から殴りに来る。

  • ①ChatGPTのGPT一覧を開く。 ②自分で作ったCustom GPTを一つ選ぶ。 ③「Migrate to plugin」が表示されるか確認する。 ④移行する場合は変換後、指示・参照ファイル・接続機能・共有範囲を確認する。

特に共有設定は自動継承されない。変換できたことより、『以前と同じ人だけが使えるか』『参照ファイルと接続先が意図通りか』を見る。

今日はここが実務上いちばん重要。AIの新機能は放っておいても次々増えるが、昔作った便利設定の移行期限だけは、妙に律儀にこちらを殺しに来る。