店先の植物を見ていた。 入口の脇に置かれた鉢植えで、葉は十数枚ほどあった。 濃い緑の葉が左右に広がり、そのうち一枚だけが少し黄色くなっている。 鉢は白く、床の灰色のタイルの上に置かれていた。

その前を通る人は誰も植物を見ていなかった。 たぶん見ているのだろうが、見ていないことになっていた。 葉は増えすぎていなかった。枝も少ない。 「全体の形が一度決められて」、その後もだいたい同じ方針で生きているように見えた。

平日、友達とその母親と話したことを思い出した。 会話の内容は覚えていない部分が多いのに、机の上のコップだけ残っている。 透明なコップが三つ並んでいて、水の量が全部違った。たぶん偶然だと思う。 植物の葉も大きさが少しずつ違う。

同じものを作ろうとしているのに揃わないのか、揃えようとしていないのか、そのあたりは聞いていない。 少し読んでみる。

ミュージックステーションは試食コーナーに似ている気がする。 この葉も試食に見えた。 一枚だけ切り取って「どうですか」と差し出されている感じがある。

新しい味、新しい色、新しい何か。 試してみませんか、と言われている。 「街に出るとそういうものが多い」。

赤い看板の隣に青い看板があり、その隣に黄色がある。 文字も多い。音も多い。歩いているだけで次々と試食を渡される。

こちらは頼んでいないのだが、向こうはかなり積極的である。 植物は違う。 葉は葉のまま置かれている。 試してくれとも言わない。

そこで少し勘違いした。 葉が少ないから落ち着くのだと思った。

だが本当は違うかもしれない。 少ないのではなく、同じ方向を向いているだけかもしれない。 数が多くても統一されていれば平気なのではないか。

いや、それも怪しい。 森は葉だらけだが、少し疲れる日もある。 森に失礼なので撤回する。

たぶん疲れるのは森ではなくこちらの担当部署の問題だ。 部署名は知らない。

植物を見る。 黄色くなった葉が風で少し動いた。 右に二センチくらい。 戻って一センチ。

また戻る。 規則がありそうで、よく見るとない。 さっきまで納得しかけていた話も似ていた。 要素が少ないから心地いい。

そう思ったが、葉は十数枚ある。 数えると意外と多い。

では何が違うのか。 色なのか。

配置なのか。 それともこちらが勝手に試食台を閉店させているだけなのか。 友達の母親が話していた内容を思い出そうとしたが、代わりに葉の黄色い部分だけが浮かんだ。

あの葉は最初から黄色だった気もする。 途中で変わった気もする。 どちらでもよかった。

風がもう一度だけ葉を動かして、白い鉢の縁に小さな影が重なった。 その重なり方を見ていたら、さっき考えていたことの続きを忘れてしまい、そのまま少しだけ見ていた。