長い文章を読む前に、まず要点を並べたい。そんなときのAI活用として、文章の要約があります。

ただ、短く整った文章になっていることと、元の意味が保たれていることは別です。要約を受け取ったあと、どこを原文に戻って確認するかまで決めておくと、作業の手順がはっきりします。

この記事では、公開文章を対象にした要約の依頼文と確認手順を提案します。以下のプロンプトは説明用に作成した例で、特定のサービスでの実測結果や精度を示すものではありません。

要約を頼む前に決めること

MicrosoftのCopilot向けガイドでは、プロンプトを組み立てる要素として、目的、背景、期待する内容、参照元を紹介しています。また、回答に誤りが含まれる場合があるため、内容の確認も求めています。Microsoft公式のプロンプトガイド

この考え方を参考に、要約を依頼する前に次の四つを書き出してみます。

  1. 目的:概要をつかむためか、手順を確認するためか。
  2. 読む人:前提知識のある人か、初めて読む人か。
  3. 出力形式:箇条書き、短い段落、比較表のどれが必要か。
  4. 対象範囲:どの文章を根拠にし、どこまでを要約するか。

最初の練習には、公開されていて、自分でも読み返せる短い文章を選ぶ方法があります。勤務先の資料を扱う場合は、そのAIサービスへの入力が認められているかを先に確認してください。

そのまま調整して使えるプロンプト例

次の例では、読みやすい要約と、確認のための根拠を分けて出すように依頼しています。「対象文章」の部分を、利用できる原文に置き換えて使います。

目的:以下の文章の要点を、初めて読む人向けに整理してください。
参照範囲:下の「対象文章」だけを使ってください。

出力形式:
1. 要点を3項目の箇条書きで示す。
2. 各項目に、根拠となる原文の見出しや段落番号を添える。
3. 数字、日付、対象者、例外条件を別の欄に整理する。
4. 原文だけでは判断できない点を「不明」として列挙する。

条件:
・事実と推測を区別する。
・原文の条件や例外を保つ。
・根拠となる見出しや段落番号がない場合は、その旨を示す。

対象文章:
[ここに要約対象の文章を貼り付ける]

「3項目」は整理のための指定です。重要な情報が収まらなければ、項目数を増やすか、要点と補足を分けるように依頼します。形式を守るために条件を落としていないか、後から確認することも必要です。

生成された要約を確認する3つの手順

1. 数字と固有名詞を照合する

金額、日付、人数、製品名などを原文と一つずつ照らし合わせます。単位や対象期間も確認します。要約に数字がある場合は、その数字が原文のどこに書かれているかを探します。

2. 条件と例外が残っているかを読む

「一部の利用者が対象」「申請した場合のみ」といった条件が、要約にも残っているか確認します。たとえば「申請した人が利用できる」を「誰でも利用できる」とまとめていたら、短くなっただけでは済みません。対象が変わっています。

これは確認箇所を説明するための例で、実際に発生した誤回答の記録ではありません。

3. 根拠を自分で開く

AIが示した段落やリンクを実際に開き、その主張を支える記述があるか読みます。Microsoftも、Copilotの出力を使う前に、主張を参照資料と照合する確認手順を案内しています。Microsoft公式の出力確認ガイド

確認できない部分は、そのまま他の人への説明に使わず、原文を探し直すか、不明な点として残します。

うまくまとまらないときの依頼し直し方

読み直して足りないと感じた部分は、具体的に指定します。

  • 条件が抜けた場合:「対象者と例外条件を、原文の表現に沿って補ってください」
  • 説明が難しい場合:「専門用語の意味を別欄で説明してください。原文に定義がなければ、その旨を示してください」
  • 根拠が追えない場合:「各要点が対応する原文の箇所を示してください」

依頼し直した結果も、同じ手順で確認します。指示を細かくしたこと自体は、正しさの保証にはなりません。

要約を読む時間と、原文に戻る時間。その両方を作業に含めておく。AIを文章整理に使い始めるなら、まずはこの小さな往復から試す方法があります。

参考資料

以下の公式資料を2026年9月29日に確認しました。