秋葉原の店先にある窓を見ていた。 ガラスの向こうに商品が並んでいて、外の光が少し反射している。 晴れているせいで、窓は店の中だけを見せるものではなくなっていた。 自分の姿と、通りを歩く人と、店内の商品が重なっている。

さっきからフィギュアやプラモデルの大きな箱を持った人が多い。 箱はだいたい四角くて、胸のあたりまであるものもある。 歩くと箱が少し揺れる。 中身は揺れているのか、箱だけが揺れているように見えているのかは、窓越しではよくわからない。

窓に映った箱を見ていると、昔、自分も「似たようなものを持って歩いていた」ことを思い出した。 そんなに昔ではない。なのに、今見ると少し前の世代の話みたいに見える。

CDを買うとき、欲しいのは円盤そのものではない」ことが多い。 中に入っている音のデータが欲しい。 本も、紙が欲しいというより、そこに書かれているものを読みたい。 どちらも、物はそのための入れ物に近い。

では、フィギュアは何を入れているのだろう。

窓の向こうには、立っているキャラクターが何体か並んでいる。 片足を少し引いているもの、腕を上げているもの、こちらを見ているようで別に誰も見ていないもの。 データの入れ物なら、中身はどこにあるのかと思う。

たぶん、憧れていたキャラクターそのものが入っている。 たぶん違う。 というか、そんなに簡単な話ではない気もする。

窓に近づくと、自分の顔が商品の横に重なった。 少しずらすと消える。 もう一度ずらすと、今度は箱を持った人が映った。

時計を見る。 思ったより時間が経っていた。 時計が悪いことにした。 窓の前に立っている時間を測る道具としては、あまり向いていない気がする。

窓は相変わらず、店の中と外を重ねていた。