窓は何を売っていたのか
2026.07.25 (土)
秋葉原の店先にある窓を見ていた。 ガラスの向こうに商品が並んでいて、外の光が少し反射している。 晴れているせいで、窓は店の中だけを見せるものではなくなっていた。 自分の姿と、通りを歩く人と、店内の商品が重なっている。
さっきからフィギュアやプラモデルの大きな箱を持った人が多い。 箱はだいたい四角くて、胸のあたりまであるものもある。 歩くと箱が少し揺れる。 中身は揺れているのか、箱だけが揺れているように見えているのかは、窓越しではよくわからない。
窓に映った箱を見ていると、昔、自分も「似たようなものを持って歩いていた」ことを思い出した。 そんなに昔ではない。なのに、今見ると少し前の世代の話みたいに見える。
「CDを買うとき、欲しいのは円盤そのものではない」ことが多い。 中に入っている音のデータが欲しい。 本も、紙が欲しいというより、そこに書かれているものを読みたい。 どちらも、物はそのための入れ物に近い。
では、フィギュアは何を入れているのだろう。
窓の向こうには、立っているキャラクターが何体か並んでいる。 片足を少し引いているもの、腕を上げているもの、こちらを見ているようで別に誰も見ていないもの。 データの入れ物なら、中身はどこにあるのかと思う。
たぶん、憧れていたキャラクターそのものが入っている。 たぶん違う。 というか、そんなに簡単な話ではない気もする。
窓に近づくと、自分の顔が商品の横に重なった。 少しずらすと消える。 もう一度ずらすと、今度は箱を持った人が映った。
時計を見る。 思ったより時間が経っていた。 時計が悪いことにした。 窓の前に立っている時間を測る道具としては、あまり向いていない気がする。
窓は相変わらず、店の中と外を重ねていた。
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